AIパッケージ
AI PACKAGE
最新のパッケージ開発AI事情って?
商品開発のプロセスを効率化し、
「売れる」パッケージを作る!
生成AIの登場で、マーケティング活動や商品開発に変化が訪れています。近年、商品パッケージの開発にAIを活用する企業が急速に増えているのです。商品開発、パッケージ制作において、AIはどれだけのことができるのか。実際にAIを活用して開発されたパッケージの事例を交えて解説します。
商品パッケージに関わるAI
近年、生成AIをデザイン活動に活用する企業が増えています。しかし、2020年より以前は、こうしたAIの活用はラフアイデアやイメージ画像の作成に留まり、AIが関与したデザインが消費者に届けられる機会はそこまで多くありませんでした。そんな中、商品パッケージとしてデザインを生成したり、機械学習によってデザインを評価したりする、「商品パッケージに特化したAI」が登場。続々と企業の実用化が始まっています。本章では、商品パッケージに特化した生成AIの中で、代表的なものについて紹介します。
1アサヒグループホールディングス「AIクリエーターシステム」
2020年、アサヒグループホールディングスが発表した「AIクリエーターシステム」は、世界で初めて複数のディープラーニング(機械学習)モデルを組み合わせ、パッケージデザインを自動生成することに成功。世の中の膨大なデザインデータをAIが学習することで、人の発想では思いつかない独創的なパッケージデザインを提案する「デザイン生成システム」と、生成されたデザインから優れたデザインに共通する要素をデザインを抽出、評価する「デザイン評価システム」を備え、デザイナーやマーケッターの業務効率化や、生産性の向上をはかります。発表当時、アサヒグループホールディングスはこのシステムを同社の飲料商品パッケージに試験的に取り入れることを宣言していました。
2プラグ「パッケージデザインAI」
デザイン開発、マーケティング・リサーチ会社の株式会社プラグが2022年にリリースした「パッケージデザインAI」は、消費者の評価を学習したAIがパッケージデザインの生成・評価を繰り返し、1時間で1000案のデザインを生成するシステム。短時間で消費者に「ウケる」デザインを大量に生成することで、マーケティング活動やパッケージ開発にかかる時間とコストの削減、売上アップに貢献します。
また年齢や性別などのターゲット設定が可能で、「商品のターゲットにピンポイントで刺さる」デザインを生成できるほか、生成されたデザイン案は、「かわいい」「おいしそう」などのイメージワードで絞り込むことが可能。現在、大手食品企業などが商品開発に活用しているAIは「パッケージデザインAI」がほとんどで、パッケージ生成AIの代表格とも言えるでしょう。
3MatrixFlow「パッケージデザイン生成AIサービス」
AI活用プラットフォームを提供する株式会社MatrixFlowは2023年8月、マーケティングデータとコンセプトを元にパッケージデザインを生成するAIサービスの提供を開始しました。本システムの最大の特徴は、対話型のAIを取り入れ、デザイナーやマーケティング担当者からの要求やフィードバックに柔軟に対応できる点です。よりコンセプトを明確にし、ターゲットに魅力的に映るデザインを生成することに特化しており、デザインクオリティの高さが強みです。
AIを活用したパッケージ事例
2022年から2023年にかけて、「パッケージデザインAI」を活用する食品・飲料企業が増加し、AIを活用した商品パッケージは世の中に一気に広まりました。現在では、企業にとってマーケティング活動になくてはならないツールとして浸透しています。本章では、おもに「パッケージデザインAI」を活用して生成された商品パッケージの実例を紹介します。
1カルビー「クランチポテト」リニューアル
カルビー株式会社は2020年、同社のポテトチップス、『クランチポテト ソルト味/サワークリームオニオン味』のリニューアルにあたり、新パッケージの開発にデザイン生成AIを活用しました。『クランチポテト』のバリバリとしたカルビー“最堅”の食感をパッケージでより直感的に伝えるため、リニューアル前を含む5種類のデザイン案を、プラグ社が提供する「パッケージデザインAI」で比較分析。AIから評価が高かった写真やロゴに加え、消費者の声などを新デザインに反映しています。なお、このリニューアルにより、『クランチポテト』の売上はリニューアル前と比較して1.3倍増となりました。
2ネピア、主力ブランドパッケージの一斉リニューアル
2023年10月、王子ネピア株式会社は、プラグ社の「パッケージデザインAI」を活用し、同社の主力ブランドである、「ネピア プレミアムソフト」「ネピア ネピネピ」「ネピア 激吸収キッチンタオル」「ネピア アネモネHG(北海道エリア限定商品)」のパッケージをリニューアル。ロングセラー商品がこれまで培ってきたイメージを担保しつつ、新たに各ブランドが持つ「上質さ」「かわいらしさ」などのブランドイメージを高めるため、旧デザインの課題抽出と新デザインの提案、AIによる評価を繰り返しました。
本リニューアルでは、4つのブランドを合わせた合計38商品のパッケージをデザインする必要があり、パッケージ開発にかかる時間が課題とされていました。AIの活用によって、デザイン提案、評価、改良のプロセスを短縮化したことにより、従来は4ヵ月かかるデザイン開発が2ヵ月に短縮できたということです。
3伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」商品パッケージ開発
伊藤園が2023年11月に新発売した「お~いお茶 カテキン緑茶」では、商品パッケージの開発にあたって、プラグ社が開発した「商品デザイン用画像生成AI」のパイロット版が活用されています。AIによって茶葉の生命力を表した画像をもとに、デザイナーがデザインを作成。さらに、プラグ社の「パッケージデザインAI」により、消費者のデザイン評価を予測し、従来のパッケージ開発よりも短時間で、より消費者に好まれるデザインを完成させました。
商品パッケージ開発に、AIを活用するメリット
商品パッケージ開発にAIを活用することで、企業は従来の開発方法よりも速く、より確実に商品コンセプトが届くパッケージ制作が可能になりました。活用した企業からは、開発過程で社内で方向性がずれ、「1からデザインをやり直す」といった無駄も防げるようになったという声や、デザイナーが時間をかけて制作したデザインに修正指示を出す精神的な負担がなくなったという声も上がっているようです。
【まとめ】AIを使いこなすには、ベースの設計が大切!
AIを使ったパッケージ開発は、従来のプロセスを効率化し、データをもとにした確かな根拠のもと「売れる」デザインが開発できる、革新的なツールと言えます。一方で、こうしたツールを使いこなすには、データだけでは測れない消費者の隠れたインサイトを深掘り、デザインの根幹となるコンセプトを設計するプロフェッショナルの思考や発想が不可欠と言えます。
パッケージパートナーでは、ペルソナ設計からターゲットを意識したデザインコンセプトのご提案、実際のデザインまで、パッケージ開発のあらゆるフェーズをご相談いただけます。「ターゲットに好まれるパッケージがわからない」とお悩みの商品開発担当者の方は、お気軽にお問い合わせください。