パッケージの食品表示法
FOOD LABELING LAW
「食品表示法」「景品表示法」とは?
食品パッケージで守るべき法律を解説!
パッケージは、ブランドイメージや商品の魅力を消費者に伝えるだけでなく、商品の衛生や品質を守り、消費者に安全に届ける役割も担っています。特に、食品のパッケージには、表記に関する細かなルールが定められており、これらを遵守した上で商品化する必要があります。
本記事では、食品のパッケージ開発において注意すべき、「食品表示法」「景品表示法」について詳しく解説します。あらかじめ知っておくことで、食品パッケージを制作する際に、ルールに則ったデザインを意識できるでしょう。
食品パッケージに適用される法律
食品パッケージには、通常のパッケージと同様、デザインに関わる「著作権法」「商標法」のほか、文字要素の表記ルールを定める「食品表示法」「景品表示法」が関わります。
- 文字要素に関わる法律:「食品表示法」「景品表示法」
- デザイン要素に関わる法律:「著作権法」「商標法」
もしも、これらの表示を偽ったり、故意ではなくても違法な表示を行うと、行政からの指導が入るだけでなく、刑罰を受ける可能性もあります。さらに、情報が公開されることで、消費者の信頼も失ってしまうでしょう。
こうした事態を避けるため、食品パッケージの開発は、「食品表示法」「景品表示法」を正しく理解し、慎重にデザインする必要があるのです。
「食品表示法」とは?
「食品表示法」とは、食品の原材料や添加物、栄養成分などの表示を的確に行い、消費者に明確に伝えるための法律です。もともとは、「食品衛生法」「健康増進法」「JAS法」の3つの法律に分かれていましたが、平成27年に食品表示法として統合されました。
1食品表示法の対象と、加工食品
食品表示法は農産物や水産物などの「生鮮食品」と生鮮食品と添加物以外に該当する「加工食品」を対象とし、それぞれ表記ルールが異なります。
この2つの分類のうち、パッケージと関わりが深いのが加工食品です。加工食品は、容器包装に入れられた以下のような品目を対象とします。
食品表示法における「加工食品」
①麦類 ②粉類 ③でん粉 ④野菜加工品 ⑤果実加工品 ⑥茶、コーヒー及びココアの調製品 ⑦ 香辛料 ⑧めん・パン類 ⑨穀類加工品 ⑩菓子類 ⑪豆類の調製品 ⑫砂糖類 ⑬その他の農産加工食品 ⑭食肉製品 ⑮酪農製品 ⑯加工卵製品 ⑰その他の畜産加工食品 ⑱加工魚介類 ⑲加工海藻類 ⑳その他の水産加工食品 ㉑調味料及びスープ ㉒食用油脂 ㉓調理食品 ㉔その他の加工食品 ㉕飲料等
2「横断的義務表示」と「個別的義務表示」
一般用の加工食品には「横断的義務表示」と「個別的義務表示」があり、それぞれ以下のような意味を持ちます。
横断的義務表示 | すべての加工食品において、共通して表示しなくてはならない事項 |
---|---|
個別的義務表示 | 加工食品の持つ特性によって、表示が必要になる事項 |
2横断的義務表示のポイント
横断的義務表示には9つの項目があります。以下では、それぞれの記載のポイントを紹介します。
項目 | 記載のポイント |
---|---|
名称 | 商品名ではなく、一般的に呼ばれる食品名 |
原材料名 |
使用されている原材料の中で、重量の割合が高い順に記載する 等 |
添加物 |
|
内容量又は固形量及び内容総 |
|
消費期限又は賞味期限 |
品質の劣化が早い食品は「消費期限」、それ以外の食品は「賞味期限」を表示する 等 |
保存方法 |
|
食品関連事業者の氏名 又は名称及び住所 |
表示内容に責任を持つ人(表示責任者)の氏名、又は住所を表示する
等 |
製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等 |
|
製造所又は加工所栄養成分の量及び熱量の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等 |
|
3アレルギー情報について
アレルギー情報は現在、個別表示とされており、症例数や症状の重さなどから指定された特定原材料7品目の表示が義務づけられています。このほか、特定原材料に準ずる21品目は表示が推奨されています。
特定原材料7品目 | ・乳 ・小麦 ・落花生 ・えび ・かに ・そば |
---|---|
特定原材料に準ずる21品目 | あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、アーモンド |
4機能性表示食品情報について
科学的根拠に基づき、特定の効果が認められた食品は、消費者庁に届け出ることで「機能性表示食品」として表示できます。
機能性表示食品には、おもに以下のような表示が義務付けられています。
パッケージ表 | ・機能性表示食品であること ・届出番号 ・届出表示 |
---|---|
パッケージ裏 | ・栄養成分表示 ・1日当たりの摂取目安量 ・摂取方法 ・注意事項 ・調理又は保存の方法 ・医薬品ではないこと ・持病がある人、未成年、妊婦、授乳中の人を対象に開発していないこと ・栄養バランスの良い食事が必要であること ・1日当たりの摂取目安量当たりに含まれる該当栄養成分の含有量 等 |
食品表示法に違反した場合
機能性表示の違法使用や、原材料表示の虚偽などが発覚した場合、食品表示法違反に該当し、以下のようなペナルティが与えられます。
食品の回収指示や業務停止命令を受ける | 食品の安全性に重大な影響を及ぼすと判断された場合は、食品の回収指示や業務停止命令を受ける可能性があります。 |
---|---|
情報を公開される | 指示や措置命令、業務停止命令が出された事業者は全国に情報を公開されます。ブランドイメージが損なわれ、消費者の信頼を失う可能性があるでしょう。 |
懲役や罰金を受ける | 措置命令や業務停止命令に従わなかったり、違反した場合、罰則か罰金、又はその両方が課せられます。 |
「景品表示法」とは?パッケージ制作での注意点
「景品表示法」とは、商品やサービスの内容や品質、価格を偽り、消費者をだますような広告表現を規制する法律です。景表法では以下の2つの表示を規制しています。
1優良誤認
商品の品質を誤認させ実際よりも良いものに見せることを「優良誤認」と呼びます。食品表示の場合は産地や原料の偽装表示などが該当します。
例)
・松阪牛を20%しか使用していないにも関わらず、「松阪牛100%」と表示する
・ブレンド米であるにも関わらず「魚沼産コシヒカリ」と表示する
2有利誤認
実際より有利な取引であると誤認させる表示を「有利誤認」と呼びます。消費者に購入させるために、セールや限定品を装うケースなどがあります。
例)
・実際には値段を変えていないにも関わらず、「今だけ半額」とうたう
・在庫があるにもかかわらず、「残りわずか」と表示する
パッケージデザインに関わる「著作権法」「商標法」とは?
パッケージデザインにおいて、画像やイラスト、ロゴマークなどを使用する際は、「著作権法」と「商標法」を意識する必要があります。なお、著作権法は食品パッケージに限らずすべての著作物、商標法はすべての商品・サービスを対象とします。
著作権法 | イラストや写真などの著作物を保護する法律を指し、著作者の許可を得ずに著作物を使用した場合、著作権法違反に該当します。 |
---|---|
商標法 | ロゴやイラスト、マーク、文字などを独占的に使用できる「商標権」を保護する法律を指します。商標権は、類似したデザインや文字にも適用されるため、他社が商標権を持つロゴを無断で使用することはもちろん、似たデザインを作って使用することも商標法違反になります。 |
【まとめ】食品パッケージは「食品表示法」「景品表示法」に注意しよう
食品パッケージは文字要素とデザイン要素で意識すべき法律が異なります。特に、文字要素に関わる「食品表示法」や「景品表示法」はルールが複雑で理解が難しい法律です。専門家のチェックやアドバイスを入れて、しっかりと確認することをおすすめします。
パッケージパートナーでは「食品表示法」や「景品表示法」を意識した食品パッケージのご提案も可能です。法令チェックに悩む商品開発担当者の方はお気軽にお問い合わせください。
【参考サイト】
- "食品事業者向け情報”東京都保健医療局| https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_name.html
- "早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け)”消費者庁|https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/assets/food_labeling_cms202_230324_02.pdfa
- "「機能性表示食品」って何?”消費者庁|https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf
- "景品表示法”消費者庁|https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/