シズル撮影
SIZZLE SHOOTING
シズル感が伝わるフード写真のポイント!
おいしそうなパッケージで消費者を惹きつけよう!
食品パッケージにおいて消費者を惹きつける要素のひとつが、イメージ写真です。温度やシーンを表現しておいしさを視覚的に伝えるパッケージは、商品の印象を左右し、売上にも影響するでしょう。そこで、本記事では、食品のおいしさを表現するフード撮影のポイントやテーブルコーディネート、構図など、おいしさの表現である「シズル感」を引き出すためのさまざまなテクニックを解説します。
「シズル感」のある写真とは?フード撮影のテッパンテクニック
とろりととろけるチーズや「ジュージュー」と鉄板で焼ける音、じっくり煮込んだシチューの匂い、焼きたてパンからのぼるアツアツの湯気……。おいしさを表現する「シズル感」は料理の見た目だけでなく、音や匂い、温度など、五感すべてで感じることができるものです。食品パッケージに使用するフード撮影では、ただ美しく整然と料理を撮るだけでなく、五感を刺激するさまざまな演出をこらし、写真を通して目の前においしい食べ物があるような臨場感を作り出すのがポイントです。本章では、撮影で料理の臨場感を引き出すのに欠かせない2つのテクニックを紹介します。
1「温度」を表現する
商品の流通過程で食品そのものをじかに積み下ろし、保管、輸送、店頭での陳列を行うのは困難です。工場で生産した商品を個装・内装し、さらに箱詰めやシュリンクフィルムによって外装することは、商品をまとめて運べる形状に整え、流通作業の効率化を図ることにもつながっています。
あたたかさの表現 | 湯気・あぶく |
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冷たさの表現 | 水滴・氷 |
2「できたてシーン」を表現する
どんな料理でもおいしそうに見えるのができたてのシーンです。しかし、人が「できたて」を感じるのは、料理がお皿に乗ってテーブルに運ばれてきた瞬間とは限りません。たとえば、揚げ物。完成した唐揚げがお皿に盛られているシーンと、鍋の中で今まさに鶏肉が揚げられているシーンでは、後者の方がよりできたて感が伝わって来るのではないでしょうか?焼きたてのハンバーグであれば、鉄板でソースが跳ねている様子、カレーライスであれば、白いご飯にかける瞬間も、できたての表現として人気です。料理よって、「できたて」のイメージはかなり異なるため、商品のできたて感がもっとも伝わる瞬間を探してみてください。
できたてシーンの例 | ・鉄板で焼かれているステーキ ・ごはんにかける瞬間のカレー ・鍋の中でこんがりあがっている唐揚げ ・シロップをかける瞬間のホットケーキ |
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料理写真のできばえを左右する4つの要素
おいしそうな料理写真には、カメラマンの撮影技術はもちろん、光や色の使い方、フォーカス、構図などの細かなテクニックが詰まっています。本章では、料理写真のクオリティを左右する、「光」「色」「構図」「食器」の4つの要素について解説します。
1光
料理写真の肝とも言えるのが、光の使い方です。被写体の真うしろや斜め上から光を当てる「逆光」や「半逆光」は、食材や料理に陰影をつけ、テクスチャーや形を強調するため、食感が想像しやすくなり、よりおいしそうに表現できます。一方、被写体に真正面から光を当てる「順光」での撮影は、食材や被写体の質感が飛んでしまうため、料理写真では避けられるのが一般的です。
また、自然光を利用した撮影は、料理を明るくフレッシュな印象に見せてくれます。光が十分に入らない場合は、レフ板を使って影を調整すると良いでしょう。
2色
オレンジや赤などの暖色は食欲増進効果を持ち、青や紫などの寒色は食欲減退効果があると言われています。料理そのものをより美味しそうに見せるには、編集作業で「色温度」を上げ、暖色を強調してみるとよいでしょう。また、器やテーブル小物の色選びは、料理の印象を大きく変えます。どんな料理も明るく美味しく見せるなら白の食器、高級感を出すなら黒の食器を選ぶなど、作りたいイメージによって器や小物の色をコーディネートしましょう。
3ピント
画面に複数の要素がある場合やテーブル全体を撮影する場合は、メインとなる料理を決めて手前に配置しましょう。この際、メインのお皿にピントを合わせ、それ以外のお皿やテーブルコーディネートはぼかし、画面に見切れる形にすることで、単品で写すよりもメインを引き立てることができます。主題を明確にすることで見る人の視線を誘導し、料理の特徴やおいしさを明確に伝えることができるでしょう。
4食器
食器の色はもちろんのこと、素材や形も写真の印象に影響します。たとえば、ガラスの器は光を反射し、みずみずしさや透明感を表現するのに適しています。また、テクスチャーが強く出る焼き物は和の印象を強め、無地のつるりとした磁器はホテルのような洋食のイメージに仕上がるでしょう。このほか、食器の形状を選ぶ際は、深さがある皿を和食、平皿やプレートを洋食に使用するのが一般的です。四角や花型など、特殊なデザインの皿は視線を集めるため、インパクトを持たせたいメインの料理に使用するのがおすすめです。
センスのいいフード写真の構図
フード写真において商品を印象的に見せるには、画面の構図作りも重要です。以下では、まねするだけでフード写真が洗練される、おしゃれな構図パターンを解説します。
1日の丸構図
メインの料理ひと皿を画面中央に配置する構図です。被写体を強調する効果がある一方、単純な構図であるゆえに単調になりがちなので、料理自体にインパクトがある場合におすすめです。
2俯瞰構図
被写体を真上から撮影した構図です。テーブル全体を撮影するなど、画面に入れる要素が多いケースで多用されるため、お皿の組み合わせや小物とのコーディネートセンスが問われます。
3対角線構図
画面の対角線上に被写体を横断させるように配置する構図です。視線を奥へと誘導するため、画面に奥行きが生まれ、立体感を感じさせます。
4三角構図
3つの被写体を三角形に配置した構図です。手前に配置した被写体にピントを合わせ、後ろの2つをぼかすことで、画面に奥行きを持たせ、主題に視線を誘導し、引き立たせることができます。
5C字構図
料理に寄ってお皿や鍋など被写体の端を画面からはみ出させる構図です。料理の質感に注目させたい時や、よりおいしさを感じさせたい時に使われます。
6S字構図
手前と奥の2カ所に被写体を配置し、奥行きを演出する構図です。手前に配置した被写体が引き立ち、画面全体がバランス良くまとまります。
【まとめ】おいしさが伝わる写真で「売れる」食品パッケージを目指そう!
フード写真を「おいしそう」と感じさせるには、湯気や水滴で料理の温度感を演出したり、料理ごとの「できたて」の瞬間を演出したりするのが効果的です。また、クオリティの高い料理写真を撮影するには、「光」や「色」、「構図」「食器」などの4つの要素を意識すると良いでしょう。
パッケージパートナーでは、食品パッケージのデザイン提案はもちろん、パッケージに使用するシズル写真の撮影・レタッチまで、トータルでご相談いただけます。「シズル感あふれるフード写真で、消費者が思わず手に取りたくなる食品パッケージを開発したい」と考えている商品開発担当者の方は、お気軽にお問い合わせください。